誰でもが知っているサザエさん一家を通じて相続税の計算しようということです。
相続税で大事なのは財産の評価です。
財産には土地や家屋、現金や預金、株などの有価証券など様々な種類があります。
そして、その種類によってそれぞれ評価の仕方が違うのです。
今、サザエさん一家が住んでいた住所が分かりました。
ここから土地の評価を見てみます。
宅地の評価は路線価という評価額によって行います。
路線価は相続税や贈与税を計算するときに用いられるもので、公示価格や固定資産税評価額とは異なります。
この国税庁によって定められる路線価は毎年1月1日に見直しが行われ、7月10前後に発表されます。
路線価図は税務署に備え付けられていて誰でも自由に見ることが出来ます。
税務署の中にはいろいろと税の種類によって係りが分かれていますが、路線価図は「資産税部門」という場所に置いてあるのが普通です。
そこで、税務署に行って(今はインターネットでも見られます)平成19年度路線価図を調べると、世田谷区桜新町二丁目二五番地の路線価は50万円/㎡(平成21年度)だということがすぐにわかります。
磯野家の間取り図を探れ
路線価が分かれば、あとは土地の広さを調べるだけです。
では磯野家の敷地はどれくらいの広さがあったのでしょうか。
これがまた難題です。
いくらマンガ「サザエさん」のペイジをめくっても、敷地の広さを推測させる場面はないのですから。
そこで苦肉の策として考えたのが磯野家の間取り図から全体の建物面積を求め、これを基礎として敷地を推測するという方法です。
よほどの山の中ならともかく、東京都世田谷区の住宅地区のこと、建物の床面積に比較して、そう広大な敷地を有することはないとの勝手な前提つきですが・・・。
こうして磯野家の絵図面づくりが始まったのでした。
なにせ相手はマンガの世界。
長谷川町子氏はまさか床面積なんて調べられることは予想もしていなかったでしょうから、場面によっていろいろな家の背景がでてきます。
つまり、突き詰めれば矛盾だらけ。
有名な話ですが、トイレの場所は異なるは、廊下は変に曲がりくねってるは、南向きなのか東向きなのか、部屋はいくつあるか・・など全くつかみ処がありません。
それでも、大掃除の場面で半畳の畳を持ち出している場面があれば、「ほう、四畳半があるんだ!」と手をたたき、「六畳中央」と走り書きした畳が画かれている場面を見つけては密かに「バンザイ」を叫び、襖の枚数を数え、「八畳間だ!」「六畳間だ!」と心ときめく作業が続けられたのです。
磯野家床面積は33.60坪
磯野家の住所は、
東京都世田谷区桜新町あさひが丘3丁目。
木造平屋建て。5LDK。延べ床面積 約30坪。
本来は5DKだと思うが、公式大図鑑で伊佐坂家が7LDKになっており
磯野家の台所も広さ的には変わらないので、LDKとなりました。
しかし、この苦労も「長谷川町子美術館に磯野家の間取り模型があったよね」の一言で雲散霧消・・。
「なんだ、それを利用すればいいじゃんか。」
と画用紙と鉛筆持参で美術館に出かけ、模型に群がる子供たち(この模型には仕掛けがしてあって、マスオの大事にしているバイオリンのありかを捜すクイズがあるものだから、子供達が集まってくるのです)を蹴散らして、間取り図を写し取ってきたのです。
こうして、ついに赤穂浪士の吉良邸討ち入りのように大工の娘を拐かす必要もなく、間取り図ができあがったのでした。
そして、この間取り図から磯野家の住まいの広さは110・96㎡(33・60坪)と計算されたのでした。
こうしてみるとなんとなく懐かしい間取りではありませんか?。
戦後の平屋の住宅は多くがこんな間取り図であったのではないでしょうか。
洋間なんて無く、複数の畳部屋が襖一枚で 茶の間とつながっていて、床下のある台所、マキで沸かす木造のお風呂、汲み取り式のトイレ・・。
四つん這いで走り回った廊下の雑巾掛け、雨戸の節穴から差し込む朝の木漏れ日・・。
サザエさんちの土地は93.47坪だ!
そんな郷愁に浸っている場合ではありません。
次の作業は、この床面積から磯野邸の敷地面積を推計しなくてはならないのです。
その基礎資料として、磯野家の敷地を描いた場面を検証しておかなければなりません。
場面をいくつか見てみましょう。
庭のスミに小屋があります。
物置小屋です。
物置小屋というのは子供にとっては秘密の場所です。
床板もなく、電気もなく、ワラや炭の臭いがし、昼間でも戸を閉めれば暗い空間は絶好の身の隠し場所でした。
そしてそこは孤独を味わう場所であり、一種怪しげな場所でもあったのです。
磯野家の場合、この物置小屋は、カツオのお仕置きの場所としてしばしば登場しています。
もちろん、男の子にとっては効果的な仕置き場にはなりません。
だいたいは簡単な板囲いで 出来ているのですから、抜け出すなんてわけないことだったのです・・。
この物置小屋が磯野家の敷地内では一番大きな造作物です。
まだその他にも鶏小屋があり、池があり、物干しがあります。
ただしこれらは、かなり一時的なもののようです。
特に鶏小屋は初期の場面にしか出てきません。
それよりも、場面を通して画かれているのが、庭の植木です。
波平さん は釣りが趣味ですが、植木や草花に対しても相当な思い入れがあるようで、その種類は十数種類という説もあります。
そして決定打。
磯野家の庭ではゴルフの練習もできるのです。
ということで、これら敷地利用状況を全て頭に入れて、敷地図をつくり計測してみると磯野家の敷地の広さは309・00㎡(93・47坪)と計算されたのでした。
こうして、ようやく、磯野家の宅地の相続税評価の計算にたどり着きました。
そして、その評価額は次のようになったのです。
(路線価)50万円×(土地の広さ)309㎡=1億5450万円
すごい金額です。
しかし、この評価も毎年変わっています。
いわゆるバブルの影響を受けた最盛期平成3年の路線価は92万円、総額は2億8000万円となり、平成15年の路線価額の約2倍以上になっていました。
路線価は、その年の1月1日の地価のだいたい80%くらいの値段であるとのことなので、実際の地価は625,000円。
それで計算すると、土地だけで
625,000円×309平方メートル=1億9312万5千円
ということになるでしょうか。
実際売買するとなると、家屋は築年数が経ちすぎているので、評価の対象にはならないような気がします。
単純に路線価で計算すると、
500,000円×110.96平方メートル=5548万円
ということでしょうか。
このあたりの家屋評価の仕方は、あまりよく理解できなかったので、違うかもしれません。
ただし、この手の昭和な間取りがいいという人もいるので、そういった好事家には高く評価されるかもしれません。
磯野家の間取りは
・お茶の間 8畳
・台所 6畳
・客間 8畳
・波平とフネの部屋 8畳
・サザエとマスオの部屋 6畳
・カツオとワカメの部屋 4.5畳
広いです・・・。
磯野家の現在の不動産価格は?
上記の情報から、東京23区に庭付きの平屋建てがある磯野家は、いったいどれだけの資産価値があるのでしょうか?
磯野家の土地が、93.47坪との事なので、平成26年現在の桜新町の不動産価格を調べてみると、立地条件によって多少は異なるとは思いますが、平均すると「坪単価233万円」との事です。
233万円×93.47坪=2億1778万5100円
固定資産税がかなり大変そうだ・・・・。