相手の言葉を繰り返す「バックトラッキング」
心理カウンセラーも使っている基本的な技術です。
心理カウンセリングの基本的なテクニックとしても知られ、営業マンの間でも効果的とされている初歩的な技術です。
これは相手の放った言葉がそっくりそのまま繰り返すことにより熱心に話を聞いてることを印象づけるもの。
それだけではなく、相手の潜在意識に訴える形で親密感を抱かせることができ、会話している相手を安心させ、なおかつ自尊心を満足させることも可能になります。
バックトラッキングの基本は
①オウム返しのように相手の言葉をそのまま言い返すと言うもの
②相手の話をした通り聞いたところで、ポイント要約して言い返す
③相手の話の中のキーワードを見出して言い返す
という方法もあります。
①は簡単ですが、対応しすぎると相手を馬鹿にしてるような印象与えてしまうため、①を基本にしながら②と③を混ぜて会話を進めていくのがコツ、③は、相手が使った言葉の中からキーワードを抜き出すのが難しいですが、これがハマるとこの人は私のことがわかっていると一気にポイントアップすることでしょう。
相手の言葉を繰り返すことで親密感を抱かせる。相手の話からキーワードを抽出して言い返すと、抜群に効果を発揮する。
相手の仕草を真似る「ミラーリング」
真似されると自尊心をくすぐられて好意を持つ
「バックトラッキング」と少し似ていますが、言葉ではなく、動作によって相手との親密度を増して好意を抱かせる技術が「ミラーリング」です。
相手の身体的な行動を同化させることで親密度高めると言うものですが、簡単に言えば相手の仕草を真似ると言い換えてもいいでしょう。
人の行動を真似ると言う行為はその視点にある種の敬意を示していることを意味するので、真似された方は自尊心をくすぐられ、自分の真似した相手に好意を持つと言うわけです。
ミラーリングはなかなか奥が深く、本来は高度なテクニックを必要とする者ですが、単純に相手の姿勢や動作を真似るだけでも効果があります。例えば、相手が足が汲んだら自分も組み、相手が顎に触れたらこちらも触れると言う具合に。
ただ、相手の仕草を全て真似すると不信感を抱かせてしまい逆効果ですので真似しやすい動きをミラーリングするだけでも良いでしょう。
ミラーリングの上級者となると、相手の呼吸を合わせることも可能だそうですが最初はそのレベルまでは難しいでしょう。
ただし、相手とお茶を飲んだり、会食したりする場合は、お茶を飲むタイミングや料理を口に運ぶタイミングを押せると効果ありです。
喫煙者同士であれば、タバコ押すタイミングも合わせやすいでしょう。
相手の仕草を真似することで、親密度高める。お茶や食事を共にしたときは、ミラーリングがしやすい。
「自分に不利な情報与えて開示する」
デメリットをあえて話して「誠実さ」をアピール
普通であれば、人は自分に不利な事は相手になるべく言わないものです。
誰でもわざわざ自分の弱点を相手に暴露したくないからです。
ところが、これを逆手にとり、あえて自分にとって不利な情報を開示することで相手に好意を抱かせると言う高度なテクニックもあるのです。
例えば、あるセールスマンが自社製品のメリットは優位性に盛んに訴えた後で、こう漏らしたとします。
「この製品の機能業界トップです。他社製品には絶対真似ができないでしょう。ただしこれには大きな欠点があります。実は、高機能鉛他社よりも価格が少々高いのです…」
彼の話を聞いた客は
「わざわざ自社製品の決定を私の話とは、誠実な人なのだな」
という印象受けます。
なんとなく彼に好感を持ち、「買ってもいいかな」と思えるようになるのです。
よくよく考えれば、機能が優れているが値段が高いのは当たり前なのです。
しかし、彼があえて大きな欠点と言う表現を使ったところがポイント。
いかにも自分にとって不利な情報を相手に与えていると言う印象づけられるうまい言い方です。
必ずしも本当に不利な情報与える必要はありません。
会話の中に、自分のデメリットになる事実等をさりげなく混ぜることで、誠実さをアピールし、好意を抱かせるように仕向ければいいのです。
自分が不利になる事実をあえて話し、好感を抱かせる。さも自分に不利な事実を伝えているかのような言い方を意識。
「共通点がある人を好きになる「類似性の原理」」
同好の士になると、一気に仲良くなる
人は、相手が自分と同じカテゴリーに分類されているとわかると、途端に親しみを感じます。
簡単に言えば仲間意識のような感覚で、自分と共通点のある人には自然と好意を持つのです。
同郷の人同士だったり、好きなアーティストや趣味が同じだったりすると、それだけで一気に距離が縮まって好感を抱きやすいのです。
これを心理学では「類似性の原理」と呼んでいます。
相手に好かれたいと思ったら、何でもいいので自分との共通点を探すのが近道だといえます。
好きなスポーツでもサッカーでも、映画でもドラマでもいいですが、類似性の原理は同好の士が少ないほどより効果的です。
プロ野球なら、巨人ファンや阪神ファンは全国的にも数が多いですが、東京ヤクルトやオリックスの場合だと、それぞれ地元の人気球団にファンを持っていかれてしまって少数派などで、「〇〇さんてヤクルトのファンだったの?」などとわかると、それだけで仲良くなれてしまうのです。
「世間でマイナーとされているファン同士の結束が強まる」
スポーツであれば、プロ野球やサッカー、テニスなどよりも、バスケットボールはアメフト、アイスホッケーなどの方が同好の士が少ないので、ファン同士の類似性の原理が強まり、お互いに好意を持てるでしょう。
また、タレントや俳優、作家や漫画家などの場合でも、どちらかと言えば世間でマイナーとされている人のファン同士であるほど、結束がかなり強まるはずです。
ただ、特定の人と共通の趣味を探すのはなかなか難しいことも多くまた、音楽や映画などの好みが異なっていれば、どうしようもありません。それでも方法はあります。
「相手の好きなブランド物自分も身につけると良い」
「ミラーリング」にも近いですが、相手の服装や持ち物等と同じブランド物を自分を真似て使ったり、身に付けたりするのです。
こういったものは目に見えるので、相手を観察していれば好きなブランドなど比較的簡単に把握できます。
「あ、その靴、私も同じもの持っているよ。あなたもこのブランド好きだったの? 」
となり、親近感をもたれるかもしれません。
相手を真似しているので本当はミラーリングなのですが、もともと好きだったふりをして「同じブランドのファン同士」と言うスタンスで攻めたほうがより効果的でしょう。
心理術の優秀の使い手たちは、相手が見た映画読んだ本を聞くと、すかさず自分もチェックして話が糸口にしているようです。「私もあの映画を見ました。いやー感動的出したねー」などと、うまく類似性の原理に乗っかっているのです。
別ににわかファンであっても構いません。
「私も× ×のファンなんですよ」と言った後で猛勉強してもともとファンだったふりをしたっていいのです。
同好の士であることを利用して、好意を抱かせる。
相手の好きなもの・ことの「にわかファン」になる。
「何度も会うと好きになる「単純接触効果」」
会う時間の長さより、会う頻度の高さが重要
ある人の身近にいて何度も繰り返してやっていると、次第に相手に親しみを覚えて、好意を抱くことがあります。
これは心理学で「単純接触効果」と言われ、実験によって証明された有名な理論です。
論文を発表した心理学者の名を取り「ザイアンスの法則」と呼ばれていますが、繰り返して見たり聞いたりすることで作られる潜在記憶が、印象評価に誤って帰属されることが理由だと説明されています。
などと聞くと難しいのですが、要は「何度も会っていると好意を持つようになる」と言う意味です。
例えば、社内恋愛が少なくないことも、単純接触効果が作用しているのかもしれません。
テレビCMで何度も商品を目にするうちに、単純接触効果が作用して購買動機につながることも指摘されています。
営業マンが得意先に何度も顔出すのも、この効果を狙っている可能性が大。
実は単純接触効果は、会う時間の長さよりも会う頻度のほうに優位性があると言われており、毎週1回1時間合う人よりも毎日10分間だけ会う人の方が、より親しみをもたれるのです。
つまり、合意を抱かせたい相手がいれば、とにかく前に会う回数を増やすことが大事だといえます。
単純接触効果の力は意外に強いもので、第一印象が悪かった場合でも何度も接触するうちに好印象に変わることが証明されています。
何度も会うことで、好意を持たれる可能性が高まる、会う回数をまめに増やして、好印象につなげる。